ハウスメーカーは原則的に規格住宅、工業化住宅を販売、施工する会社です。
予め建てる住宅に対して企画を設けて認定を受けておく「形式適合認定」の手続きをする事で工場で大量生産や事前施工が可能になります。
人件費や広告費に多額の経費を占めており、大手企業であることが多いため、安心感と広告などからのいいイメージで選ばれる方が多いです。
設計事務所とは、他との施工会社の一番の違いはデザインを重視していることです。
また、設計監理を独立して行うことで当初描いた設計図通りに施工が進んでいるかを第三者的な目で監理します。また、専門家であるがゆえに住宅を扱う設計事務所は住宅以外を設計する事は難しいと予想されます。
実はハウスメーカーも設計事務所の住宅も、ほとんどの施工工事はここが下請けとして行っています。会社によって正確は様々ですが、職人として施工技術に優れている会社は営業が苦手で、営業に優れる会社は施工に不安を感じる場合が多いです。
ハウスメーカー
低コストのための規格化・工業化のため製造原価はとても安い。
ただ広告費や営業費などに多額の経費を割いているため、思ったよりは安くない。
また、規格内の仕様はそれほどでなくても規格を外れると価格が急上昇する傾向にあります。
設計事務所
設計事務所のデメリットはなんといっても独自のコストカットに対する仕様がないためコストが高くなってしまうこと。設計監理料も他の2つに比べて高額になります。
また、仕様がよくなる傾向になりがちで、結果見積もり金額が高くなる傾向にあります。
工務店
工務店は管理コストがあまりかからない小規模な会社が多いので、ほぼ原価に近い金額でたてることができます。
工務店で建てる一番のメリットはコストパフォーマンスの良さと言えるでしょう。
ハウスメーカー
規格住宅という性格上設計自由度は一番低いと思われます。規格の種類が比較的豊富なため規格化即デメリットというわけにはなりませんが「唯一無二の住まいを」とお考えの方には向きません。
また、規格化によってコストカットを行うため規格から外れると規格化のメリットを享受できなくなります。
設計事務所
法令と予算の制約以外は一切ありません。自由で制約がないということは自分の好みで物を考えられる反面、すべて自分で考えなければならないということです。
細部の仕上げや施工の知識は工務店の方が勝っている場合が多いですが、良い建築家は工務店の知恵と工夫を引き出していい家を完成させます。一方工務店をうまく扱えない建築家は詳細な性能においては工務店に劣ってしまう場合あります。
工務店
建築家と同じ自由度があります。しかし工務店は使い慣れた素材や施工の効率性・信頼性を重視する傾向があります。
デザイン力は全くデザインに気を配らない工務店から、建築家顔負けのデザイン力を持った工務店まで様々です。相対的にはデザイン力は建築家が上回り、工務店はスタンダードを目指す傾向にあります。
ハウスメーカー
規格化・工業化率が高いので、施工精度のばらつきは少ないと言えます。
欠陥住宅や手抜き工事が発覚した場合社会的インパクトが大きいため意図的に問題を起こす動機は働きません。ただ、施工は下請けが行うため厳密な管理をしなくても失敗しないという油断は生じがちになります。
設計事務所
欠陥住宅を防ぐためには「監理」が重要になります。設計事務所の場合これを独立して行うためチェック機能が有効に働きます。建築家の場合一点ものの要素が強く、建ててみないと不具合があるかわからないという欠点があります。しかし欠陥というレベルになることは少ないです。
工務店
工務店の場合、チェックする側とされる側が同じなため機能しにくい面があるため、各社色々な対策を行っています。
・社内に設計士を置き、法令遵守や性能表示を数値的にチェックしながら自主管理を行う。
・第三者機関にチェックを依頼する。
・棟梁の元、責任施工という考えで、職人一人ひとりが手抜きや瑕疵を起こさない。
お客様が思うより効果は大きく、いい仕事をするためには法令や性能基準より上のレベルの仕事をする必要があります。
品確法により、施工後10年間の瑕疵担保保証等の法律により、保証への保全措置が義務化しています。これは、ハウスメーカーにかぎらずどの住宅会社も変わりはありません。
ただ、ハウスメーカーは上場企業も多いため、比較的安心して、将来の保証を期待できます。
設計事務所の場合、施工を行って施工業者が保証元になります。保証対象や内容は他業者と同じ内容になります。
(瑕疵担保履行法により、新築住宅の瑕疵保証が10年間必須となりました)
しかし見方を変えると10年保証をすればそれでいいとも受け取れます。企業規模が大きくなればこの傾向は強くなります。棟梁としてのスタンスであれば10年で済ませるつもりはさらさら無く「一生責任を持つ」。そのような家造りが本来の気がします。
ハウスメーカー
・営業マンの人柄や展示場の豪華さに惑わされず、プラン・仕様・金額など家そのものを総合的に評価することが大切です。
・「形式適合認定」とは新築完成時での形式です。増改築をする場合、形式認定から外れることで、許認可から外れることで、許認可が下りないケースがあります。
・屋外付帯設備工事費は、建物の外の敷地内工事で建物本体価格と別です。見積もりを取ってから総額の判断をする必要があります。
・営業マンの転勤があります。担当者がよくても、転勤後は対会社か後任の管理担当者になります。口頭での約束事は控えましょう。
・企業体の大きさからくる安心感やブランド力は一番あります。大きいがゆえに徹底した原価カットがあることもふまえましょう。
設計事務所
・良い設計士の判定が難しく、完成時の性能機能差が大きく出ます。住宅専門の設計事務所の数が少ないのが普及を抑えています。
工務店
・コストパフォーマンスに優れている
・業態が多岐にわたっているので、判定が難しい。地元で実績の長い会社ほど、施工への責任感は強い。
・ハウスメーカー、建築家を選択しても実際の施工は工務店が請け負う。
・品質確保に対して各社対応はしているが、一部の悪質業者のため不安感が払拭しにくい。
工務店は、規模や形態、経営意識の違いから各社の差が大きくでます。
ハウスメーカー
・ハウスメーカーは生産効率を高めるため規格住宅・工業化住宅を販売する会社である。
・数を売る事業形態のため、製造原価は低いが多額の経費が必要となる。
・「形式適合認定」を受けているため、将来のリフォーム等に問題が発生する可能性が高い。
・規格住宅が故にプランの自由度が低い。しかし必ずしもそれが不利益とイコールではない。
・企業規模が大きく安心感がある。品質管理は信頼できるレベルにある。
設計事務所
・建築家はハウスメーカーの対極にあり、自由度が高くデザイン性に優れている。
・コスト的に高くなる傾向がある。
・住宅専門の設計士が少なく見つけにくい。
工務店
・実際の工事はどのカテゴリでも工務店が請け負う。
・業態やカテゴリーが多く、自分に合う業者を選択しにくい。
・実績や心証を頼りに判断する必要がある。(ある程度選択の目や知識をもつ必要がある)
・地場工務店はコストパフォーマンスが良い